気になるパラドクス
「……私、モテ期なんだろうか?」
近くでお茶のペットボトルを傾けていた後輩が、咳き込んで恨めしそうな顔をする。
「違います。主任がきっと鈍感なんです!」
「えー……納得できないな。ぽっと出の黒埼さんはともかく、時任さんとは入社時から一緒だし。そんなそぶりなかったじゃない」
しかも、彼は五年前まで結婚していたし。
「やっぱり鈍感なんです。時任さんはあのおっきい人よりはさりげなかったですけど、いつも顔を出す度に主任にプレゼント持ってきていたじゃないですか」
「えー? プレゼントぉ?」
時任さんからは、今日みたいな板チョコだとか、あめ玉とかもらっていたけど……。
まぁ……いいか。
「よし。仕事しよっかな」
お仕事、お仕事。
「さっきの増岡さんの書類は、悔しいから、頑張ってね」
怒鳴られていた後輩が、キリッと私を見た。
「15時までにミスなく仕上げます」
「彼からお礼とお詫びがなくても、私はちゃんと知ってるからね」
それからは本当にミスなく仕事は終わって、鼻唄まじりにロッカーで着替えて社員入口を出ようとして……。
「美紅!」
名前で呼ばれて振り返った。
何故か後ろから黒埼さんが現れる。
……と、言うか。いきなり名前を覚えられてるのねー。
「お前、頼むからメールチェックしろよ。帰ろうとしてたろ」
「プライベート用のスマホは会社では出さないの」
それでもバックの中でメールチェックすると、着信も入っていた。
「今日はミーティングだったの?」
「だったの。だから車で送ろうかと思って」
「マメねぇ……」
クマさんで、肉食で、何を考えているかもわからないけど、マメなのはわかる。
「ついでに、部屋にあげてくれるかな……って、少し期待してる」
早いよ君!
近くでお茶のペットボトルを傾けていた後輩が、咳き込んで恨めしそうな顔をする。
「違います。主任がきっと鈍感なんです!」
「えー……納得できないな。ぽっと出の黒埼さんはともかく、時任さんとは入社時から一緒だし。そんなそぶりなかったじゃない」
しかも、彼は五年前まで結婚していたし。
「やっぱり鈍感なんです。時任さんはあのおっきい人よりはさりげなかったですけど、いつも顔を出す度に主任にプレゼント持ってきていたじゃないですか」
「えー? プレゼントぉ?」
時任さんからは、今日みたいな板チョコだとか、あめ玉とかもらっていたけど……。
まぁ……いいか。
「よし。仕事しよっかな」
お仕事、お仕事。
「さっきの増岡さんの書類は、悔しいから、頑張ってね」
怒鳴られていた後輩が、キリッと私を見た。
「15時までにミスなく仕上げます」
「彼からお礼とお詫びがなくても、私はちゃんと知ってるからね」
それからは本当にミスなく仕事は終わって、鼻唄まじりにロッカーで着替えて社員入口を出ようとして……。
「美紅!」
名前で呼ばれて振り返った。
何故か後ろから黒埼さんが現れる。
……と、言うか。いきなり名前を覚えられてるのねー。
「お前、頼むからメールチェックしろよ。帰ろうとしてたろ」
「プライベート用のスマホは会社では出さないの」
それでもバックの中でメールチェックすると、着信も入っていた。
「今日はミーティングだったの?」
「だったの。だから車で送ろうかと思って」
「マメねぇ……」
クマさんで、肉食で、何を考えているかもわからないけど、マメなのはわかる。
「ついでに、部屋にあげてくれるかな……って、少し期待してる」
早いよ君!