ナニカ 〜生んで、逃げて、殺される物語〜



前に敬太が、『ナニカの存在を信じない奴が殺される』と言った時、それ以外にも殺される条件があることに私は気づいていた。


それは……私が頼むこと。

桜井先生の時も飯塚先輩の時も、私は心の中でナニカに語りかけていた。

ムカつくから、この人を消して欲しいと。


ナニカは私が生み出した化け物だから、私の願いを聞いてくれるんだと思う。


それに気づいていたのに、絵留への憎しみが溢れた結果……また、ナニカに頼んでしまった。

絵留を消して欲しいと……。


今は絵留に対して、心から申し訳ないと思っている。


そして、巻き込まれてしまっただけの真斗には、申し訳なさを通り越して、何と言って謝っていいのか分からない……。


5分ほどかけて、やっと全てを話し終えた。


それからもう一度「ごめんなさい」と、敬太に謝った。


敬太は許さないとも、許すとも言わない代わりに、こう聞いてきた。


「霞が絵留を憎んだのは、どうして?
俺のせい……?」


「敬太のせいじゃないよ!
私が勝手に敬太のことが好きで、絵留に取られると思って……あ……」


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