ナニカ 〜生んで、逃げて、殺される物語〜
みんな、敬太の話を真剣に聞いていた。
教室内には敬太のちょっと低めの声だけが響いていて、いつもの賑やかさはない。
敬太はみんなの顔を見回してから、続けてこんな推測を話し出す。
先生の顔のパーツがくり抜かれていたということの意味。
それは、先生から奪った目と口を、ナニカは自分の顔にくっつけたかったんじゃないだろうか。
昨日、ナニカの絵を描くように言われた時、私は話の流れで、目と口のような丸と棒線を描いた。
敬太はそれに食いついて、ナニカには目と口があるに違いないと決めつけて盛り上がっていた。
その時点ではナニカには顔なんてなかったのかもしれないが、私達の話を教室内のどこかで聞いていたナニカは……目と口が欲しくなった。
それで、桜井先生を殺した後に、目と口だけ持って行ったんじゃないだろうか。
自分の顔にくっつけるために……。