ナニカ 〜生んで、逃げて、殺される物語〜
梨沙との通話を終わらせて、すぐに真斗にかけ直し、場所を伝えた。
「学校近くの稲荷神社だって!
私も行く。鳥居前で待ち合わせね!」
スマホだけ持って、家を出た。
自転車に飛び乗って、日が沈んだばかりのまだそれほど暗くはない夜道を激走した。
漕ぎ出してすぐにハアハアと息が切れて、太ももも痛くなり苦痛を感じる。
普段体育の授業も適当に流してまともに運動していない私が、こんなに自転車で走らされるなんて……。
疲れたし苦しいし、ムカムカと腹が立ってきた。
怒りを向ける相手は敬太じゃなくて、もちろん飯塚先輩。
ナニカなんているはずないと言うのは、別にいいよ。
私も口には出せないけど、そう思っているし。
でも、それが原因で、ナニカを信じる敬太をシメルなんて間違ってるよ。
私の好きな敬太に怪我をさせたら、絶対に許さないんだから。
これはあり得ないけど、ナニカが本当にいるとしたら、お願いしたい気分だよ。
敬太に怪我をさせる前に、ムカつく飯塚先輩を消しちゃってよって。