ナニカ 〜生んで、逃げて、殺される物語〜
激しく腹を立てながら自転車を約10分走らせ、稲荷神社に到着した。
鳥居の横の草むらに、自転車を止めてキョロキョロと辺りを見る。
真斗の家よりも河川敷よりも、私の家からの方がずっと稲荷神社に近い。
真斗はもう少し時間がかかるだろうから、こんなに急がなくても良かったかな……そう思ったが、私が着いて30秒後に真斗も到着した。
真斗は自転車を無造作に草むらに転がして、苦しげに肩で呼吸していた。
ここに着いた時の私もよりも、ずっと苦しそうに見える。
よほど急いで来たんだね……その呼吸の乱れに、敬太を想う真斗の必死さが伝わってきた。
「真斗、大丈夫?
落ち着くまでちょっと座った方が……」
「んなこと、言ってらんね……ハァハァ。
敬太が……ハァハァ、行くぞ」
「う、うん」