双子の御曹司
更衣室に入ると凪沙が首を長くして待っていた。

「遥遅い!」

「ゴメン、副店長に捕まった!」

私は両手を顔の前で合わせ謝る。

着替えを済ませると、近くの居酒屋【寄道】に向かう。

ここは味よし、ボリュームよし、値段が安いの三拍子が揃っていて、″鳶″同様、ここも私達の行きつけの店である。

戸を開けると店長から威勢の良い声がかかる。

「ぃらっしゃい!」

「空いてます?」

「どうぞ!」と案内され奥の個室に入る。

席に着くと直ぐに、生中、どて煮、だし巻き卵、串の盛り合わせを注文する。

毎度の事ながら、私達は、女子が好む様な、バエルという様な料理は、まず頼まない。

運ばれたビールに手を伸ばすと「早く話しなさいよ!」と、凪沙に急かされる。

凪沙は昼間の話が聞きたくて、ウズウズしているようだ。

「もぅ喉乾いてるんだから、一口ぐらい飲ませてよ!」

凪沙は「はいはい。」っといって「お疲れ!」と、ジョッキをカチンを合わせる。
私はそれを乾いた喉に流し込む。

「クー旨いねぇ。」



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