双子の御曹司
半分ほど飲んで、ジョッキを置き、お通しのタコワサに手を伸ばす。
「もぅオヤジか!?」と凪沙に突っ込まれ「で?」と急かす凪沙。
「もぅ大した話じゃないって! ほら前に稔君の話したでしょ? いつもお父さんと来店されるんだけど、先月はおじさんと一緒だったのよ! お父さんと同じ顔の!」
「えっ双子?」
「そうなの。 で、稔君が伯父さんとみえた時にお父さんじゃないですよね?って、私が二人を見分けた事が珍しかったみたい。」
「それでナンパされたと?」
「ナンパかどうか分からないけど、お付き合いされてる人がいるかって聞かれただけだよ?」
「へぇー子供の前でナンパって凄い!」
「やっぱりナンパなのかな? ナンパとかするような人に見えないんだよね…」
「で、どうするの? 佐野さん言ってたけどリッチそうな人らしいじゃん?」
「リッチかどうか知らないけど、素敵な人だとは思うけどね?」
「遥まだ男知らないんでしょう? 今どき結婚するまでエッチしません! なんて中学生でも言わないよ?」
「結婚するまでエッチしたくない! とかそんなふうには思ってないよ…。」
「この際干物になる前に、その人に教えて貰うのも良いんじゃない?」
「それとこれとは…」
彼氏いない歴29年、初めての彼氏が妻子持ち?
不倫?……
イヤイヤ! 私には無理! アハハ…
苦笑いしてどて煮を突っつく。
「凪沙こそ最近どうなのよ? 年上の彼は?」
ひと回り離れた奥さんのいる人と付き合っているっと言っていた。