双子の御曹司
ゴールデンウィークは、おもちゃ業界にとって大切な稼ぎどきである。
お陰さまで、今日も朝からお客様の入りは良い。
「よっ!遥、お疲れ!どうだ売れいきは?」と副店長に声をかけられる。
「お疲れ様です。ゴールデンウィークは稼ぎどきですからね頑張ってますよ!」
ゴールデンウィークも中盤、今日は私の公休日だったが、昨夜、佐野さんから電話があり、お子さんが熱を出したから休みたいと連絡をもらったのである。
その為、私は出勤する事になり8連勤となっていた。
副店長は心配して顔を見に来てくれたのだろう。
「そうか頑張りすぎるなよ? 疲れた顔してるぞ? 早く男作れ!そしたら肌に潤いも出るだろ? 何なら俺が付き合ってやろか?」
「うるさいです。年寄りは間に合ってます! セクハラで訴えますよ!?」
副店長は背が高くがっしりした体格で、顔は鬼瓦の様で見た目は怖そうに見え、仕事にもとても厳しい人である。
だが、本当の優しい彼を知らない人は、一歩引いてみてしまうだろう。
だからこんなふうに副店長に話せるのは私ぐらいかもしれない。