双子の御曹司

「チーフ、商品部の水野さんから電話がありました。『折り返しお願いします。』との事です。」

「了解! 佐野さん休憩どうぞ?」と声をかけてから、商品部に電話する。

「お疲れ様です。K店の渡瀬ですが、水野さんみえますか?」

「おっ渡瀬お疲れ、俺だ!」

水野とは同期で新人研修で気が合い、たまに飲みに行く仲だ。

「水野、電話もらったらしいけど?」

「水物どぅした? レイアウト変更するなら手伝いに行くぞ?」

「うん、有難う。 今日もう済ませた!」

「やっぱり動き早いな? さすが渡瀬だわ!」

「お褒めいただき、有り難うございます。」

「で、水ピスだけど、どうする? 今の投入計画どおりでいいか?」

「それなんだけど、大きいのを少し増やしてくれない? 最近年齢層上がってきてるからさ!」

「そうか? じゃーロット増やすか?」

「うん。大きいのを2ロット宜しく!」と電話を切ろうとした時、水野が話を続ける。

「あっ渡瀬、それとさぁ…明日あたり飲みに行かねぇ?」

「私と2人で?」

水野がどうして、私を飲みに誘っているのか分かっている。
だが、わざと聞いてやるのだ。
いわゆる意地悪と言うやつだ。

「いや…そのー…」

はっきりしない水野に、溜息が出る。

「分かってる! 麗華ちゃんを誘えって言うんでしょう?」

「アハハ…よくお分かりで?」

「ったく、奢りだからね!?」

「そりゃー勿論!」

「連絡するわじゃーね! ヘタレ水野!!」と悪態を吐いて電話を切る。

なんであいつの仲、取り持たなくちゃいけないのよ!?
自分で誘えばいいのに! ほんとヘタレなんだから!

でもあいつ良い奴だからね? 仕方ない協力しますか?

「麗華ちゃん明日予定ある?」

「いえ、無いです。」

「飲みに行かない? 水野が奢るって!」

「えっ水野さんとですか? はい、行きます!!」

即答で返ってくるあの笑顔見てると、麗華ちゃんもまんざらじゃないって分かるんだけどね!

「じゃー水野にメールしとくわ!」




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