計画的俺様上司の機密事項
わたし、有沢夏穂(ありさわかほ)は、この地域イチの広告出版会社に勤めて5ヶ月が過ぎた、社会人1年目。

みんな都会に憧れ、上京していったけれど、わたしは地元の高校を卒業し、地元の大学の推薦を勝ち取り、4年間地元の大学に入った。

東京に憧れていたこともあったけれど、どうしてだか、この地元に残らなきゃいけないような、そんな気持ちで生活していた。

大学に入っても特に浮いた話もなかった。

おかげで学校も真面目に通ったし、在学中はパソコンを使ったバイトをするようになってバイト先でもコツコツやってくれているから仕事がはかどると社長や先輩たちに褒められた。

バイト先が今の会社の下請けだったこともあり、次第に今の会社に興味を持ち、入社を決めた。

入社し、研修後にメディアインターネット部に配属になって先輩から指導してもらい、忙しいけれどまだまだ仕事に関しては勉強中の身だ。

先輩からはうちの会社はこれから急成長をとげて、東京進出も視野にいれているとのことで、新事業拡大の噂が立っていると教えてくれた。

うちの会社は昔、小さな出版社だったそうだ。

地域限定のグルメやイベント情報を集めたフリーマガジンを発行するなり注目され、話題を集め、今では広告収入が増えて今では広告代理店事業、メディアインターネット製作事業、出版流通事業など多岐にわたる企業に成長した。

これからも上昇を続ける企業に入ることができて嬉しかったし、学生時代にフリーマガジンのおかげで新しいご飯屋さんだったり、特集では雑貨屋さんについて知ることができたり、情報を発信していく仕事に就くことができるなら、この地元でずっと働いてもいいな、と思うようになった。

わたしもこの急成長な会社で頑張っていこうと思った矢先、入ってそうそう、部長から目をかけられた。

「付き合ってほしいなあ」

OKはしなかったはずなのに、気づけば部長がそばにいた。

仕事がだいぶわかるようになって集中していきたかったところなのに、部長から飲みの誘いだったり、呼び出されたりして迷惑だった。

何度かはぐらかしていた矢先、資料室でキスされそうになったけれど。
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