彼が嘘をついた
「美容師さん…だったんですね。
じゃあ、あの…。お2人はどんな関係なんですか?」
佐倉さんは、興味深そうに和馬さんと私を見る。

それにも、和馬さんが答えてくれる。

「遥ちゃんは、友達の妹。…で、俺が見習いのころにカットモデルやってもらった関係で、今も髪を弄らせてもらってる、お得意様」

この説明には、苦笑いしながら頷くしかない。
だって、"お得意様"なんてとんでもない。
いつも休みの日や、お店が終わってからセットしてもらってるんだもん。
だけど…。
そんなことは、ここでは言わない。
佐倉さんに、変に誤解されたけないもん。
でも…。
これだけの情報でも、佐倉さんは探りを入れてくる。

「へぇ…。
カットモデルやめても、遥さんはずっと通ってるんですか?」

「えっ…、うん。
なかなか新しい美容室って入りにくいじゃない?
だから、つい和馬さんに連絡しちゃって…」

「そっかぁ…。
遥さんは佐野さんのこと、名前呼びなんですね?
それだけ、仲がいいってことですね。
佐野さんも、遥さんのこと名前呼びだし…」

「……………」

「あー、それは当たり前でしょ?
俺、遥ちゃんの家族全員お客さんなの。
名字にしたら、誰からの予約か分からなくなっちゃうから。
だから、ごめんね。遥ちゃんの彼氏くん」

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