彼が嘘をついた
美鈴先輩が言ったように、翌週月曜日からは私たちの噂も減り、見られることも少なくなった。

そうしているうちに10月、衣更え。そして、食欲の秋を迎えた。
売り出すお弁当やお惣菜の数も増え、クリスマス商品やお節料理の試作·冬に向けての苺を使ったスイーツや、節分の恵方巻の企画など、年末に向けて会社としても忙しくなる。

隼人くんが所属する商品開発部では、冬限定のお弁当や、スイーツなどの原案が出されている。
そのため、最近は残業も多くなった。
土曜出勤も、あったりする。
出勤時間も帰宅時間も違い、同じ会社にいるのに、お昼休みも合わない。

それに関連して、私の庶務課も雑用的な仕事が増える。
定時で受付の仕事が終わってから、美鈴先輩や楓恋の終わっていないデータ入力を手伝ったり…。
会社全体が、忙しくなっている。

そのため隼人くんとは、土曜日の夜くらいしか、2人でゆっくり過ごす時間がない。
それだけでも、一緒にいられことは幸せなことなんだけど…
わがままなのかな?どうしてもそれだけじゃ寂しいと感じてしまう。

だけど、恋愛経験のない私は、こんなときにどうしたらいいのか分からない。
とにかく寂しい気持ちを抑えて、週末の2人の時間を楽しく過ごせるように心掛けた。



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