彼が嘘をついた
そんな貴重な、10月最後の土曜日の夜。
私は父と兄から、大切な話があるから実家に来るように…と呼ばれた。

隼人くんに言ったら、
「仕方ないね。
お父さんとお兄さんも、遥に会いたいんだから。
俺のことは気にしなくていいから、実家でゆっくりしておいで」
そんなふうに言ってくれた。

一応、泊まれる準備をして実家に向かう。
「ただいま」と玄関を開けると、
「お帰り、遥ちゃん」
洋子叔母さんが出迎えてくれた。

「えっと……あれっ…?
どうして叔母さんが?」

「あらら。
兄さん、遥ちゃんには何も話してないのね。
うちの主人も、大樹も来ているわよ。
今日の夕飯は、お寿司を頼んだのよ。
もうすぐ届くから、手を洗って席に座って待っててね」

なぜ、洋子叔母さん夫妻やヒロくんまで呼ばれたのか分からないけど、何かがありそうなイヤな予感がする。

とりあえず食堂へ行くと、父·兄·孝志叔父さん·ヒロくんが揃っていた。

「こんばんは。遅くなりました」
挨拶をしながら入って行く。そして、私が席に座ると、叔母さんがお茶を出してくれた。

「ありがとうございます」
温かいお茶を飲んで、気持ちを落ち着かせる。

誰も何も言わないけど、今日は一体、何のための集まりなんだろう?

不安が募る。
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