彼が嘘をついた
「あっ。遥おはよう。
今、どこにいる?」

「ん?まだマンションにいるよ。
そろそろ出ようとしていたところだよ」

「そっか。良かった、間に合った!
今、車で迎っているから、もう少し待ってて!」

「えっ…?」

「和馬さんのところで、髪とメイクをしてもらって、スターホテルに行くんだろ?
ちゃんとホテルまで送るから。
あっ…と。
今、マンションの前に着いたよ。
待ってるから。
電話、切るからな!」

良く分からないけど、ヒロくんが迎えに来てくれたみたいなので、鍵を閉めて急いだ。
言葉通り、マンションの前にヒロくんの車が停まっていて、私は急いで助手席に乗り込んだ。

「おはようヒロくん。
突然、どうしたの?」

「ん?…あぁ。
今日は1日、遥のお抱え運転手をするから。
…綺麗だけど、その格好で歩かせるのは、変な男に声かけられるから…。
…ちゃんと帰るまで、ボディーガードするよ」

「あ…ありがとう」

そうしてヒロくんに送ってもらい、美容室『Bell』に着いた。
お店のドアを開けると、
「いらっしゃいませ」と挨拶される。

約束の時間より少し早いけど、
「遥ちゃん、いらっしゃい。
大樹くんもご苦労様。
別室でやるから、2人ともこっちに来て」
と、和馬さん本人が案内してくれる。
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