彼が嘘をついた
「俺と真由子、従兄弟じゃないんだよ」

「えっ…?」

「…血は繋がっているけど、従兄弟じゃない。
…妹なんだよ、母親は違うけど…」

「……………」

「よくある話だよ。
俺は本妻の子で、真由子は愛人の子。
お互いにその存在を知ったのは高校入学のとき。同じクラスだったんだ。俺は母親から、"あの子とは親しくしちゃいけない"と言われ、理由を聞いたら教えてくれたんだ。
真由子も同じように聞いたらしく、次の日からは当然のように俺のそばにいた。
母親には"親しくするな"と言われたけど、俺は真由子とも他のクラスメートと同じように接した。
最初は"付き合ってる"と思われたけど、真由子の提案で従兄弟にしようとなった。まぁ、さすがに"腹違いの兄妹"とは言えないよな。

真由子とは、大学は違っても連絡は取っていた。
そうして紹介されたのが、バスケ大会で会った佐倉美幸。
佐倉は、真由子と俺の関係を知っていて、俺に近づくために真由子と友達になったんだ。
俺は、真由子を守るために美幸と付き合った。
…前に話した通り、すぐに"結婚"って言われて、さすがにイヤになって別れたけど」

遥は、俺の長い話もちゃんと聞いてくれる。
ほかの誰が聞いても楽しい話しではないのに。

俺は話を続ける。




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