彼が嘘をついた
「大樹には、入社してすぐに俺と真由子の関係は話したんだ。
遥と真由子も仲良くなって、自然と4人でいることが増えて、その中にいることが心地好くなった。このままの関係でも、遥のそばに居ることが出来るなら、それでもいいと思ってた。
でもな…。
俺に、見合い話が来たんだ。
相手は佐倉食品の令嬢、美幸だ」

ここまで話すと、遥は顔をしかめた。
俺と美幸の見合い話を、良く思わないのだろう。
また話を続ける。

「父に言われ、仲人さんの顔を立てるために、会うだけ会った。
そして、すぐにお断りをした。『好きな人がいるから』と…。
でも、まだ付き合ってもいないなら、美幸と付き合えと言われた。
それで、大樹と考えたのが、大樹の代わりに遥のそばにいること。
大樹と真由子は、俺が美幸と見合いしたときには、もう付き合っていた。
遥が大樹を頼っていたのは知っていたし、その大樹が認めれば、俺が代わりにそばにいることが出来ると思った。
そうして俺は、遥と付き合うことになったんだ」

一気に話した。
たぶん、言わなくてもいいことまで言ってしまった気もするが、それは仕方がない。
最後に、遥への想いを伝える。

「…いろいろ、騙すことになってゴメン。
だけど俺、どうしても遥じゃないとダメなんだ。
それくらい、遥のことが好きなんだ…」







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