彼が嘘をついた
「昨日、庶務課の仲間とお見合いのこととか、私が社長の娘とか、話しをしたの。
みんな、私が社長の娘だだと隠していたこと、怒ったりしなかった。それどころか、親身になって話しを聞いてくれた。
そして隼人くんとのお見合いの件、"未来を決めるのは遥自身だよ"って言ってくれたの。
だから、真剣に考えようと思ったの。
そのために、隼人くんと距離を置きたいの。…会ったら"そばにいたい"って気持ちが勝っちゃうと思うから。
だから、勝手だとは思うけど、会社を辞めて、彼の隣の部屋からも離れたいの。
…わがままなのは分かってる。だけど、お願いします!」

私は父に頭を下げた。

「……………」

「……………」

「…分かったよ。
会社の方はなんとかするから、明日から休んでいい。これから簡単に荷物を持ってきて、今日からこの家に戻ってきてもいい。
ただし、条件が2つある」

私は父を見つめた。

「1つは、今月中に答えを出すこと。あまり返事を遅らせるのは、相手に対して失礼だ」

私は頷いた。

「もう1つは、お前の退職を発表すると同時に、お前が私の娘だと公表すること。
退職理由は、"花嫁修行"としよう。いいな」

「はい、分かりました」

また頷いた。
こうして私は、自分の未来を自分で考えることになった。
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