彼が嘘をついた
コーヒーを持って、総務部へと戻った。

「お待たせしました、コーヒータイムにしましょう!
ここからは、セルフでお願いしまーす」
美鈴先輩の声に、女子社員たちが一斉に集まった。

私は、4人の課長たちにコーヒーを届けた。
まずは、4人の中で一番年上の人事課の渡辺課長。
次に、経理課の星課長。
秘書課の久保田課長。
そして、直属の上司になる永瀬課長。

それから私は、自分の分のコーヒーを手に取ると、ミルクだけを入れてかきまぜた。

「お茶しながらでも、自分の仕事はキッチリしてください」
永瀬課長が、庶務課のメンバーに声をかける。

他の課も、和やかな雰囲気ながら、馴れ合いにならないように課長たちが声をかけていた。
大石部長がいると、全体的にピリピリしているので、こんなゆったりした環境で仕事だ出来るなんて久しぶりだ。

そんなことを思いながら、私は頼んであるお弁当屋さんに電話をかけた。
今日の分の確認と、朝、兄にお願いされたことの確認をするためである。

「はい、松竹弁当です」

「お世話になっております、"四つ葉フーズ"の佐久間です。
今日お願いしている、お弁当の数の確認なんですが…」

「あっ、はい。四つ葉フーズさまですね。
…少々お待ちくださいませ」
相手は、請け書を見ながら対応してくれる。

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