彼が嘘をついた
兄から連絡があった通り、7時半前に4人揃って帰ってきた。

ちゃんとご飯も炊けて、魚も焼き上がり、夕食の用意も終わった。
お皿に盛りつけて、ヒロくんと2人でテーブルに運んでいるところだ。

「ただいま」

「お帰りなさい。
ご飯の準備出来るから、手を洗ってきて」

「こんばんは遥ちゃん。久しぶりね」

「洋子叔母さん、こんばんは」

「これ、お土産ね。
食後に食べましょう!」

そう言って叔母さんは、美味しいと評判のケーキ屋さんの箱を出した。

「わぁ、ありがとうございます」

「夕食の準備、ありがとうね。
じゃあ、手を洗ってくるわね」

私は叔母さんからもらったケーキを冷蔵庫にしまった。

それからダイニングに行くと、みんなが席について待っていた。

「揃ったから、冷めないうちに食べよう。
いただきます」
「「いただきます」」

兄の言葉に続いて挨拶をして、食事が始まった。

「…やっぱり和食はいいな」
兄がぽつりと呟く。

「冴子さん、作ってくれないの?」

「あぁ。
ハンバーグやら、スパゲティーやら洋食ばかりで、和食はないな。
1度、煮物を作ってもらったら、人参に火が通ってなかった」

「冴子さんは、社長令嬢だからね」

そう。
兄は取引先の娘さんと、いわゆる政略結婚をしたのだ。

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