彼が嘘をついた
エントランスには隼人くんしかいなかった。

「遅くなって、ごめんなさい」

「いや、大丈夫だよ。
大樹と真由子は先に行ったから、俺たちも行こうか」

そう言って歩き出す隼人くん。

「うん」

私は頷いて、彼のあとを追う。
…少し歩いて、隣に楓恋がいないことに気付く。

「ごめん、隼人くん。ちょっと待ってて」

そう言って私は、逆戻りして楓恋を探した。
楓恋はまだ、エントランスにいた。

「楓恋?
どうしたの、行こう」

私が声をかけると、

「あー、遥。
五十嵐くんと先に行ってていいよ。
私、ほかの人を待ってるから」

「えっ…?なんで?」

「ん?
2人の邪魔しないから、先に行ってて」

「ちょ…、楓恋?」

「…別に邪魔なんかじゃないから、西崎も一緒に行くぞ!
どうせ、同じ場所に行くんだから…」

「そうだよ楓恋。
一緒に行こう!」

「…ん、分かった」

ようやく楓恋も歩き出し、私たちは3人で同期会のお店に向かった。





お店に着くと、すでに何人かが集まっていた。

本社勤務の同期は15人で、男性が9人、女性が6人だ。
だけど、この4月に1人が寿退社したから、今日集まるのは14人。

席は座敷で、5.5.4で3席が押さえてあった。
もちろん、仕切られた個室になっている。
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