彼が嘘をついた
私がシートベルトを締めたのを確認すると、五十嵐くんは車をスタートさせた。

「…今日のこと、ちゃんと伝えてなくてごめん。
手伝ってくれてありがとう」

「…うん、大丈夫だよ」

「…俺が住んでるマンションまで、20分くらいだから。
ランチとは別に、奢るから夜は一緒に引っ越し蕎麦を食べよう。
どこか、いい場所知らない?」

「ん、ありがとう。
場所は考えておくよ」

そう答えたけど、思いついたのはスーパーで乾麺なり生麺などを買って、自分の部屋で茹でて食べること。
1人分だと、なかなか作る気にならないから、久しぶりに天麩羅を揚げるのもいいかも…
…勝手にそんなメニューを考えた。





会話らしい会話もないまま、目的地に着いた。
目の前には、新築のデザイナーズマンション。
五十嵐くんが停めた隣には、ヒロくんの車が停まっていた。

「…これなら軽いから、上まで持っていける?」

五十嵐くんに渡されたダンボールは、確かにそんなに重くない。

「うん、いいよ」

「じゃあ着いてきて」

彼もダンボールを持つと、先に歩き出した。
私も後を着いて行く。

一緒にエレベーターに乗り、彼が押したのは"18"階。
このマンションの最上階だ。



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