彼が嘘をついた
翌朝、目が覚めると時計はもう9時近くになっていて驚いた。
それでも土曜日なのを思い出し、軽い2日酔いなのもあって、それからしばらくベッドでゴロゴロしていた。
本当はもっとそうしていたかったが、さすがに真夏の太陽には勝てず、10時半前には起きて、洗濯機を回し始める。
その間に、簡単にオムライスを作り、グリーンサラダとアイスティーでブランチを食べた。

洗濯物をベランダに干したのは11時を過ぎたけど、夕方までには十分に乾くだろう。
続けて布団も干す。
それからリビングや寝室·トイレや浴室の掃除をした。

一通りの掃除が終わり、一息をつくと午後の3時を過ぎていた。
洗濯物と布団を中に入れてから買い物に出掛けようとベランダに出ると、同じく洗濯物を取りに出ていた五十嵐くんと会ってしまう。

「あっ…!」

思わず声を上げてしまうと、

「…遥……」

私の声に気付いた五十嵐くんが私を見る。

(どうしよう…?)

焦って、戸惑う私に、
「…なんか、久しぶりだな」
自然に話しかけてくれた五十嵐くん。

「…うん、そうだね…」
私はぎこちなく返した。

「…あのさ。
ちゃんと話したいことがあるんだけど、これから時間ある?
…遥さえ良ければ、飯食いに行かない?」

「あぁ、うん。…大丈夫だよ…」

突然の誘いに、私は思わず頷いた。







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