オトナチック
「杉下くんから見たら、お父さんは自分を捨てて出て行ったひどい人かも知れない。

だけど、お父さんは杉下くんを置いて出て行ったことを申し訳なく思っていたんだよ!」

「何だよそれ…。

高浜はあいつの肩を持つって言うのかよ…」

絶望を隠せない様子の杉下くんに、
「“和泉、ごめんな…”」

私は言った。

「えっ…?」

杉下くんは驚いたと言うように聞き返すと、私に視線を向けた。

ようやく、テレビから私に視線を向けてくれた。

「意識を失っていた状態で、お父さんはそう言っていたって。

それも泣きながら、うわ言のように何度も“和泉、ごめんな…”って」

私を見つめている眼鏡越しの瞳が大きく見開かれた。
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