オトナチック
非常階段のドアを開けると、私は息を吐いた。

階段に腰を下ろすと、
「何をしているんだか…」

毒づくように呟いた。

隠していたのに後輩に気づかれて、そのうえケンカをしていると誤解をされた。

自分では上手に隠していると思っていたけれど、他人にはお見通しのようだ。

おばあさんの前では婚約者、家では同居人、会社では同僚…と3つの関係を演じている訳だけど、これらの関係は今のとこはバレていない。

と言うか、隠している以上バレてしまったら大変なことになる。

今日は…昨日のことがあるから無理かも知れないけれど、明日になればいつも通りになるはずだ。

「よし」

私は気合いを入れると、階段から腰をあげた。

返事の期限である夕方はもうすぐだ。
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