オトナチック
「別に高浜がこの話を断ったとしても、追い出さないから。

俺がここへ連れてきた訳だし、その…」

杉下くんはブツブツと呟いている。

その様子に、私は何だか申し訳ない気持ちになってきていた。

彼氏に家を追い出されて困っていた私に、杉下くんは住むところを提供してくれた。

同僚だから助けあうのは当然だと言っていたけど…本当は、ちゃんと恩を返した方がいいのかも知れない。

「いいよ」

私が言ったのと同時に、杉下くんは驚いた顔をした。

「婚約者を演じるだけでいいんでしょ?

じゃあ、やってあげる」

そう言った私に、
「…無理をしなくてもいいんだぞ?」

杉下くんが言った。
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