オトナチック
「そうか…」

杉下くんは小さな声で呟いた後、
「悪ィな、こう言うのはあんまりなれていないんだ」
と、言った。

「変なことを聞くようで悪いんだけど、今までつきあってきた彼女のことは名字で呼んでたの?」

私は杉下くんに聞いた。

「どちらかと言うと名字呼びが多かったような気がする…」

そう答えた杉下くんに、
「杉下くんが名字呼びの方がいいって言うなら、私のことはいつも通り“高浜”って呼んでいいよ」

私は言った。

それに対して杉下くんは顔を横に振ると、
「いや、婚約者なのに名字と言うのはいくら何でもおかしい。

だから“芽衣子”って、ちゃんと名前で呼ぶよ」
と、言った。

「そう…じゃあ、私も杉下くんのことを“和泉”って名前で呼ぶね」

そう言った私に、
「そうしてくれ」

杉下くんが言い返した。
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