黄金と四聖獣
次の朝、私はまだ少し暗いうちに目を覚ました
部屋には、エーラがすーすーと、穏やかな
寝息を立てていたが、シオン様の姿が
見当たらなかった。
その時、建物の外からヒュンっと風をきる
音が聞こえて、私は気になって
そっと部屋を出て、玄関から中庭に出てみた。
するとそこには、月明かりの下
剣を振るうシオン様の姿があった。
目にも止まらないほどしなやかで速い
剣さばき。
そして、月明かりに照らされて一層綺麗に
輝く金色の髪に、私は息を飲んだ。
なんて…綺麗なんだろう。
剣という物騒なものを振るっているにも
関わらず、私は思わず見とれてしまった。
すると、シオン様が剣をとめて
ふっとこちらを向いた。
その瞳は、吸い込まれそうなぐらい美しい
黄金の色だった。
「フィアネ?」
そう名を呼ばれて、
「すみません、シオン様、邪魔してしまって」
と答える。
「いや、邪魔なんてされてないよ。こんな朝早くにどうしたんだ?」
「少し、早く起きちゃったんです」
そう答えてから私は、
「シオン様は、なんでこんな時間に剣の稽古なんて?」
と聞くと、シオン様は真剣な顔になって言った
「今日、山賊たちがいる場所に行くだろう?」
その言葉に、私は頷く。
「私は、そんな危険な場所に行くと決めた。けど、ひとりでは無理だ。二人を、危険にさらすことになる。」
「そんなの、全然気にする必要ないですよ、シオン様。私たちだって、自分の意思でついて行くんです。」
「そうだとしても、危険な目に合わすのは変わりない。だが私は、必ず二人を守る。」
シオン様がそういった時、風がさぁっと吹く。
その時の美しさは、神話の中の麒麟が
目の前にいるかのようだった。