黄金と四聖獣
「…せっかちだな」
とエーラがゼンの出ていった扉を見ながら言う
…もしかしたら、ここにいると
シオン様についていくという意志が揺らいで
しまうから、早く出ていきたいのかもしれない
…私の考えすぎかもしれないけれど。
「まぁ、ゼンが出たいと言ってるのだし、出てみるか」
と、シオン様も笑いながら立ち上がった。
それに続くようにして、私もエーラも
立ち上がり、荷物をまとめて部屋から出た。
広間には、女将さんとゼンが立って待っていた
「もう、行ってしまうんですな」
と、女将さんが寂しそうに言う。
「あぁ、世話になった女将」
そう、シオン様はかがみ込んで女将さんと
目線を合わせて言った。
「…また、来ておくれよ」
そう言う女将さんに、私たちは
「はい」
と笑って返事をした。
「ばかゼン。」
そして、女将さんはゼンに向き直って
そう呼びかける。
「あ?」
ゼンはすごくぶっきらぼうに、視線も合わせず
言うけれど、女将さんはゼンに近づいていき
「ずっと待ってる」
といって微笑んだ。