黄金と四聖獣



「フィアネ」


そんな声がして私が振り向くと、少し後方で


エーラが手招きしていた。




それに、


「どうかした?」


と言いながら近づくと、エーラは私にぐっと


顔を近づける。




な…なに…?


「フィアネ、さっき結局ほとんど食べられなかっただろ」



そう、エーラは声をひそめて言う。



それに、


「うん…まぁ」


と答えると、エーラが懐から巾着を取り出して


その中からは小さめなリンゴが出てきた。



「あげる」


そう、エーラが微笑みながら私の手の上に


リンゴを乗せた。




「どうしたの?リンゴなんて…」



そう聞くと、


「さっき木を見つけたんだけど、ほとんど鳥に食べられた後みたいで一つしか残ってなかったんだ」



と、エーラは残念そうに言った。



「…でも、せっかくエーラが見つけたんだから、自分で食べなよ」



とリンゴを返そうとすると、エーラは



「俺は腹減ってないからいらないよ。フィアネに食べて欲しいんだ。それ」


と言いながら、両手を背中の後ろに隠して


しまった。




エーラは、お腹が減ってないというけれど、


朝は蛇汁だけで、もうおそらく正午を超えて


いるのに、お腹が減らないわけがない。




そう思った私は、自分の荷物から布に包まれた


包丁を取り出して、リンゴを半分に割ると





「はい」


とエーラに渡した。





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