黄金と四聖獣
それからしばらくすると、フィアネが
山から木の葉だらけで帰ってきて、
そのまま本殿の方に入っていった。
何が採れたのか聞きに行こうと、本殿の方に
向かって歩いていくと、中から話し声が
聞こえて、思わず壁に背をつけて
隠れてしまった。
「何してたんだ?そんな木の葉だらけで…」
と、エーラの声がする。
「そこの山で、薬草と、野草を採ってきたの!見て、この野草は茹でるととても美味しいのよ」
フィアネは、声で嬉しそうなのが伝わってくる
「…あの、昨日はごめん」
そんなエーラの声が聞こえて、シオンは
ホッとする。
少しだけど、心を開けたみたいだ。
「あら、なにが?」
「…君の気に触るようなことを言った。疑ってごめん」
エーラが素直に謝ると、
「いいのよそんなの、城を追われたばかりなら無理ないし、普通のことよ。それに私は全く聞きしてなかったし」
と、フィアネが返す。
「ね、シオン様やっぱりエーラさんっていい子で可愛いですね」
建物の中から、フィアネがひょっこりと
顔を出す。
「…!?フィアネ…気づいてたのか?」
「もちろんです、なめないでください」
「というか、フィアネ、こういう時は、気づいてても言わないのが礼儀だよ」
「…盗み聞きしてた人が、人に礼儀教えられる立場ですか?シオン様?」
顔を赤く染めながら怒りに震えるエーラに、
私は驚いてなだめる。
「ま…まぁまぁ…エーラがフィアネに心を開けて良かったと思って…」
「俺は拾われた犬ですか!」
聞かれたことがよっぽど恥ずかしかったのか
まだ顔の赤さがひかないまま、私を睨むエーラ
に、私は思わず笑ってしまう。