黄金と四聖獣
私は、斬られた左腕を少し庇いながら
残りたった一人となった兵に刀を向けていた。
「誰の命令でここへ来た?隊長は誰だ?」
そう問うと、兵は怯えながら口を開く。
「り…リジュン様の命で…隊長は、フェルナン様です…」
フェルナンか…
フェルナンは小さな頃にグオンに助けられた
孤児だった。
それからずっと、フェルナンはグオンに
忠誠を誓っているが、私が城から追われる
少し前、グオン直々の命令でフェルナンは
リジュンの下につかされたのだ。
あの時は、グオンには何か思惑があるのかと
思ってはいたが、今では確かめようもないな。
「それで、フェルナンは今どこに?」
そう聞くと、兵は震える手で指さした。
私はその指の先をたどる。
その先には、さっきフィアネが立っていた
木があった。
木の枝の上には、もうフィアネの姿はない。
普通の兵なら別だが、フェルナンが居るのなら
エーラもフィアネも危ないかもしれない!
そう思い、私は木の方に向って駆け出した。