黄金と四聖獣
エーラは私の手を引いて走りながら、
背負っていた剣を抜き、
飛んできた弓矢を薙ぎ払った。
四方の屋根の上から何人もの兵が
こちらを狙っているようだった。
「従者の方を狙え」
そんな声が上から聞こえ、思わず私はエーラを
守るように立ち、声が聞こえた屋根にある
人影を睨みつけた。
その時、強い風が吹き、シオンの前髪が揺れた
その瞬間だった。
「て…撤退!撤退ー!!」
と、兵たちが叫び、一瞬にして周りには誰も
居なくなったようだった。
私は唖然としながら、屋根の上を見渡す。
「…よくわかりませんけど、今のうちに城から抜けましょう、シオン様」
エーラはそう言いながら私の顔を見ると
驚いた表情になり、
「…金色の…眼…?」
と、呟いた。
金色?
私の目は青かったはず…
シオンはそう思い、どういう意味か聞こうと
するが、エーラは
「何でもないです、行きましょう!」
と言って再び私の手を引いて走り出した。