君が罪なら俺は罰を受け入れる





それでも俺はその想いを、考えを、気持ちを押し殺す。








『……早く、お前に本当の意味で“大好き”って言える相手が出来ることを俺は待ってるよ』






『………しばらくは、彼氏とか、恋とか……離れたい………』




そう言って、バカ女はそっと俺の肩に自分の頭を寄せてきた。





(惑わされるな)


(感情を揺らすな)



俺は必死に自分自身に言い聞かせながら、自分の左肩にある温もりを感じていた。










『小原が恋人だったらさ……恋愛の価値観とかも似てるし、浮気も毛嫌いする奴だし、幸せになれるのかもしれないね……』







俺はそう小さな声で話すバカ女の頭をどけて、バカ女の顔を見ることも出来ず、ただ、ただその言葉に心の奥に刺さる棘の痛みに耐えようとしていた。








『俺たちは、そういう関係にはなれねーよ?』






『……え……?』





『浮気も毛嫌いする、そういう恋愛の価値観とかが似てるから、俺たちには男女間の友情が成り立つんだろ?

 一度、友たちだと思った奴はそれ以上の関係にはならないだろ?』





『………なれ………なりたくはない、か。

 別れるとか、裏切るとか……そんなんで失いたくないもん……小原のこと……』





その力強い瞳に見つめられ、そう言われる俺はどうしていつも胸の奥にある棘の痛みに泣きたくなるんだろうか。





彼女の良き友達であって、それでもそれ以上の関係にはなれないことを痛感してしまうから、だろうか。







『それはどうも。

 じゃ、お礼に映画、俺がチケット代を出してやるよ』





でも、俺は次の言葉を放つ時、もう笑ってんだ。


心の奥では泣きたがってるにも関わらず、そう、笑ってんだー……








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