君が罪なら俺は罰を受け入れる
『ねぇ!今日はなんの映画を観るの?』
突然の話の変わりように、俺はバカ女を見つめる。
俺の視線に気が付いたバカ女は首を傾げ、俺を見つめ返す。
バカ女の瞳にも俺が映っているのが見えて、当たり前だけど、今この瞬間はコイツは俺を見ているんだって思える。
(視線を合わせる時だけじゃなくて、いつだってコイツの目に俺が映ればいいのに……)
そんなどうしようもないことを俺は見つめながら考えてしまう。
『……小原?聞いてる?』
再度、バカ女に声を掛けられ、俺はハッとする。
視線が合っただけで、バカ女の瞳に俺が映っただけで、俺は何を考えてるんだか。
『………あ、聞いてる聞いてる。
なんかお前は観たい映画とかないの?』
努めて冷静に俺はバカ女に問いかける。
『え?小原が観たい映画があるんじゃないの?
だから映画に誘ってくれたんじゃないの?』
バカ女はバカに相応しい程、キョトンとした顔で問いかけてきた。
『あ……俺は別に特に観たいってのはない…』
(本当はホラー系ので気になってるやつがあったんだけど……)
『そうなの?うーん、じゃ、どうしよっか……』
(コイツを笑わせたいのに、まさかの選定がホラーとかあり得ないよな……)
『お前はないの?』
俺は心の声とは違うものをバカ女に問いかける。
『うーん。小原が観たいのでいいよ』
今度は俺がバカ女の言葉にキョトンとした顔になってしまう。
(………へ?俺が観たい映画でいい……?)
『小原、この間、ホラー系ので観たい映画があるって話してくれてたでしょ?
確かその映画、もう上映されてるよね?
あれ、一緒に観に行こうよ?』