カ・ン・シ・カメラ
窓の外には森が広がり、下を見るとかなりの高さがあることがわかった。


ここは普通の2階建ての家の高さより、随分と高い。


一瞬飛び降りて逃げようかと考えたが、そうもいかない高さだ。


あたしは窓から叶さんへと視線を戻した。


叶さんは笑顔のまま、ジッとあたしを見ている。


その視線には暖かさと優しさがあり、とまどう。


「もっと、他に聞きたい事があるんじゃない?」


そう聞かれ、あたしはゆっくりと頷いた。


どうやら、叶さんはあたしを傷つけるつもりはないみたいだ。


「叶さんはお兄ちゃんがここにいるって知っていたんですか?」


「あぁ、もちろん。部屋を貸したのは俺だからね」


スラッとそんな返事をする叶さん。


あたしは背筋に冷たい汗が流れて行くのを感じていた。


「お兄ちゃんが……ここでやっていた事を知っているんですか?」


「知ってるよ? いくら友達でも理由も知らないまま部屋を貸したりしないからね」


叶さんはそう言い、おかしそうに笑う。
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