意地悪くんと鈍感ちゃんの初恋物語
「今日だけじゃないよな?」

「確かに。いつもこんな調子だよね?」

「気づかないのは立花本人だけ。か」

クラスメイトの話し声が聞こえる。

「え?
鈍すぎるお前の方がバカ」

「何よ、もぅっ!」

言って、美空の髪をくしゃくしゃにかき混ぜる。
柔らかい毛が、ふんわりと手になじむ。

いつもとおんなじようで、今日から違う関係になった俺たち。
今日という日は、一生の思い出になるんだろうな。
俺と美空はもう、仲の良い友達じゃない。
大切な恋人だ。

チョコケーキを嬉しそうにかじる美空を目の前に、俺はブラックコーヒーを一口、飲んだ。

-END-
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