好きと言えなくて
恋愛映画で、病気で亡くなった恋人とそっくりの彼女の役が園村友加里。


かなりのラブシーンがあるらしい。


台本を少しだけのぞき見しけど、本当に大丈夫か心配になった。


まだ、園村友加里が来てないので監督がイラついてるのがかる。


もしかして、田城ちひろの相手役が嫌だとか。


プロだからそれはないか。


「嫌あり得るよ。園村友加里は相手役が気に入らないと、ボイコットするし、相手を変えろと平気で監督を困らせるからね。」


撮影開始時間から一時間が過ぎても、園村友加里は姿を現さなかった。


撮影中止かな。


田城ちひろと監督が話しているけど、代役を立てるのだろうか。


呑気にそんな事を思ってると田城ちひろが私に近づき、綾華が代役な。


私が代役?


誰の?何の?


まさか 、だよね。


喜村マネージャーはクスクス笑ってるし。


ちょっと止めてよ!


監督が目の前に現れた。


「良いから着替えて。」


嘘だ。


嫌だ。


映画のスタッフに今日だけだから、お願いしますと頭を下げられた。


付き人の次は映画デビューですか。


私の人生何が起きてるの。


もう訳が分からなくて、ただスタッフの言いなりに着替えた。


映画のセットなんて初めて見たし。


感激をしてる場合じゃなかった。


大ケガをして病院に運ばれて来た、田城ちひろ役名が村田尚宏と、看護師、私の役名中野鈴の出会い。


村田尚宏の担当になり中野鈴が病室へ行くと、大ケガをしてるのに病室を抜け出そうとする、村田尚宏を止めるシーン。


包帯が巻かれた腕をつかんでしまい、監督に怒鳴られる。


セリフも覚えられないし、動きはロボットみたいだし、もう嫌だよ。


亡くなった恋人とそっくりな彼女を見て、田城ちひろに抱きしめられる。


思わず悲鳴をあげてしまい、又々監督に怒鳴られた。


だから私は素人ですし、ただの代役ですから。


ワンシーンを何度も撮り直し、クタクタに疲れてしまった。


園村友加里さん早く来てください。


でもその日園村友加里が姿を現す事はなかった。


園村友加里が出ないシーンの撮影が行われ、ほっとしたのもつかの間、監督に台本を渡され、明日も園村友加里が来なければ、おまえでやるからと爆弾を落とされた。


ちょっと、嘘でしょ。


何で私なの。


他にも女優はたくさんいるはず。


これは田城ちひろの陰謀なのか。


絶対阻止してやる。











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