オフィス・ラブ #Friends
あたしは、かなり初期の段階で、さっさと行為に及んでしまう主義だった。

のめりこんでから、そっちでがっかりするのもバカバカしいし。

逆にいえば、そこで気が合えば、他の部分でもたいてい合うと、経験で知っているから。

要するに、これが一番手っ取り早い。



「部屋で、煙草、吸ってもいいかな」



駅に降りる階段で、ようやく訊かれたのは、そんなことで。

この人、吸うんだ、と意外に思った。



「さっき、吸ってなかったのに」

「煙草があると、集中できないから」



集中って、何に?

とりあえず、部屋で煙草を吸われるのは、すごく嫌で、それまで誰にも許したことがなかったんだけど。

そのことと、この人をつれて帰れないことを秤にかけたら。

不思議なことに、あっさり結果は出た。



「いいですよ」





ベッドに座って、ブランケットの下で片ひざを立てて、煙草を吸う姿を見あげる。



「手、抜きました?」

「出し惜しんだと言ってほしいな」



いつもネクタイをきちんと締めている印象の彼が、こうして素肌をさらしてるのは、すごく珍しいものを見ている気になる。

ちょっと細めの、綺麗な身体。


ワンルームの部屋は、すぐに煙草の煙が充満して、窓を開けておけばよかったと思った。

これ、臭いとれるのかなあ。

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