となりの専務さん
「えっと、ここでもいい?」

「なんだよ、ガードかてぇな……。まぁいっか。あのさ、今日の夜ってヒマか? 夜っつっても六時くらい」

「今日? うん、とくに予定はないよ」

私がそう答えると、凛くんは。

「昨日話したバンドでさ、六時からライブやるんだ。オリジナルがほとんどだけど、クロックスもちょっとやるからよ。ヒマだったら……見に、こねぇか?」

凛くんはなぜかつっかえつっかえ、言いづらそうに私をそう誘ってくれた。


「ライブやるの⁉︎ すごいね、行く行く!」

「ほ、ほんとか⁉︎ じゃあ場所はあとでLINEで送っから」

「うん! あ、でも私チケット代の持ち合わせが……」

「バカ、ただの路上ライブだよ。金なんかかからねぇって」

「そ、そっか。じゃあ、友だち誘って行ってもいい?」

「おう」

凛くんはこれから本番前の練習をしにいくというので、私は「じゃああとで」と言って、自分の部屋に戻った。



ライブかぁ……。ほんとにすごいなぁ……。楽しみだ。どんな演奏をするんだろう。
部屋に戻ってから、床にごろんと寝ころんで、そんなことを思った。


そして。



……誰を誘おうかな?

そりゃ、専務といっしょに出かけられたらうれしいけど……専務は会社に行ってるし、誘えないや……。それに、まだ私になにか怒ってるみたいだし……。
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