となりの専務さん
「お疲れ様」
社長は私たちの横を通り過ぎる時、そう言ってくれた。
専務にすごくよく似た、透き通ったキレイな声。
社長は顔もどことなく専務に似てる。親なんだから当然かもしれないけど。
社長の声はやさしくて、周りの人たちが言う通り、いい社長さんなんだろうなって思う。相変わらず、人をすぐ信じちゃう性格な私だなとは我ながら思いますが。
以前、専務は社長のことを『あんな人と毎日いっしょにいたら疲れる』みたいなことを言っていたけど。……あんまりそういう風には見えないんだけどなぁ。
そんなことを思っていると。
「君が……石川さん?」
「⁉︎」
私はバッと顔を上げた。
え、え? も、もしかして私と専務のこと知って……?
専務は社長とあまり仲良くないみたいだし、私も専務も、お互い付き合ってることはまだ誰にも言ってないから、社長も知らないと思っていたけど……。
「え、あ、あの……」
どうしよう。動揺しすぎて言葉が出てこない……!
するととなりにいた月野さんが。
「そうです。四月に入社した石川です」
と、私の代わりに答えてくれた……。
それを聞いて社長は。
「そうかい。あまり見慣れない子がいたものだから、ついね」
と、専務に似たほほえみを私たちに見せて、その場をあとにした。
「そんなに緊張しなくても、やさしい社長よ」
社長の姿が見えなくなった頃、となりで月野さんが私にそう言った。
「は、はい。すみませんでした。代わりに答えていただいてしまって」
「それはべつにいいんだけど、広香ちゃんがあんな風に話せなくなるのって珍しいね」
「はは……」
彼氏のお父さんだから余計に緊張しました、とは当然言えず。
月野さんは係長のことが好きみたいだから社内恋愛のこととかいろいろ相談できるかもしれないけど、でも、専務とつきあってることは、さすがに言えない。少なくとも、今はまだ。
社長は私たちの横を通り過ぎる時、そう言ってくれた。
専務にすごくよく似た、透き通ったキレイな声。
社長は顔もどことなく専務に似てる。親なんだから当然かもしれないけど。
社長の声はやさしくて、周りの人たちが言う通り、いい社長さんなんだろうなって思う。相変わらず、人をすぐ信じちゃう性格な私だなとは我ながら思いますが。
以前、専務は社長のことを『あんな人と毎日いっしょにいたら疲れる』みたいなことを言っていたけど。……あんまりそういう風には見えないんだけどなぁ。
そんなことを思っていると。
「君が……石川さん?」
「⁉︎」
私はバッと顔を上げた。
え、え? も、もしかして私と専務のこと知って……?
専務は社長とあまり仲良くないみたいだし、私も専務も、お互い付き合ってることはまだ誰にも言ってないから、社長も知らないと思っていたけど……。
「え、あ、あの……」
どうしよう。動揺しすぎて言葉が出てこない……!
するととなりにいた月野さんが。
「そうです。四月に入社した石川です」
と、私の代わりに答えてくれた……。
それを聞いて社長は。
「そうかい。あまり見慣れない子がいたものだから、ついね」
と、専務に似たほほえみを私たちに見せて、その場をあとにした。
「そんなに緊張しなくても、やさしい社長よ」
社長の姿が見えなくなった頃、となりで月野さんが私にそう言った。
「は、はい。すみませんでした。代わりに答えていただいてしまって」
「それはべつにいいんだけど、広香ちゃんがあんな風に話せなくなるのって珍しいね」
「はは……」
彼氏のお父さんだから余計に緊張しました、とは当然言えず。
月野さんは係長のことが好きみたいだから社内恋愛のこととかいろいろ相談できるかもしれないけど、でも、専務とつきあってることは、さすがに言えない。少なくとも、今はまだ。