となりの専務さん
「えっ、あの人専務なの⁉︎ しかも、同じアパートに住んでる⁉︎」

夜、お姉ちゃんととなり同士に布団を並べ、部屋の電気を消し、私は声を潜めながらお姉ちゃんに専務のことを話していた。

さすがに、壁に穴が開いていた時期があったことは言えないけど。修理が終わったとは言え、心配させてしまうだけだろうし。


「う、うん。やさしい人なんだよ。時々ちょっと意地悪だったりもするけど」

「男はちょっと意地悪な方がいいじゃーん! えー、でもさ、同じアパートに住んでるなら、毎日“し放題”だよね! どうだった? 初めての時は」

「? なにが?」

「なにがじゃないよ」

「⁇」

「え……まさか、ヤッてないの?」

「! そういう話⁉︎ やめてよ、なにもないよ‼︎」

「なにもないの⁉︎」

私もお姉ちゃんもついつい大きな声を出してしまい、揃って改めて声を潜める。


「えー、エッチなしとか響さんかわいそうー」

「そ、そんなことないもん」

「そんなことないってのは広香が決めることじゃないでしょ」

「う」

「したくないの? 怖いの?」

「そういうわけじゃ……」

したくないとかじゃない……。いつかはそうなれたら幸せだろうなって……すごく、思うよ。
でも、本当にしたくなる時……っていうのが絶対あると思うから、そういう時に……したいなと思ってる。
専務も、確かに前に『我慢してる』みたいなことは言ってたけど……私のそういう気持ち、ちゃんとわかってくれて、そして大事にしてくれてるんだよね……。

そういうところも好き、なんですけど……。
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