となりの専務さん
「んっ、やっ」

唇が離れた瞬間に、なんとか声をあげるけど。
専務は聞いてくれなくて。


「……っ」

服の隙間から、専務の大きな右手が私の肌に触れる。

そのまま専務の手は私の背中に回り、下着を外された。


や……っ、このままじゃ、本当に……。




ーーでも。

専務と話せるのは、本当にこれで最後かもしれない。

触れ合うことなんて、きっともっとありえない。


それなら……?


私は専務が好きで、今日一日で、昨日よりさらに好きになり。

これから先、専務以外の人を好きになることもないと思う。


私は、抵抗するのをやめた。



……だけど。



(なんか……)


専務は私の体に触れたり撫でたりしながらも、なにも言わない。

いつも、キスをしながら、抱きしめてくれながら、私の名前を呼んでくれているのに。


私を見る視線も、ひどく冷たいもので。




ーードラマとか、映画とか、友だちの話とか……。

大好きな人との“初めて”は、ドキドキするけど、でもそれ以上に幸せで胸がいっぱいになるものだと、ずっと思っていた。

……大好きな人との初めて。それは間違いない。


間違いないけど……。



「……いい?」

「え?」

ずっとなにも言わなかった専務が、突然口を開いたと思ったら、そんな質問をされた。
最初、質問の意味がわからなかったけど、すぐにわかった。


専務が私の体を押さえつけるようにして、私に覆いかぶさる。
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