となりの専務さん
「……いろいろ聞きたいことがあると思うんだけど、なにから言えばいい?」
専務がそう言ってくれたので、私は、数ある質問たちの中からひとつ、真っ先に選び抜いて。
「なんで、専務だってこと言ってくれなかったんですか? 私、コスメチアの社員だってちゃんと言ってあったのに!」
と聞いた。
……いや、でももしかしたら言わなかったんじゃなくて、言えなかったのかも。なにか深い理由があったのかも。
……という思いもないことはなかったんだけど、
「言わない方が楽しいかなって」
…….専務から返ってきたのは、まさかのそんなお言葉で……。
「……私、専務のこと『やさしくていい人』って思っていたんですが……」
「え、ほんとに?」
私が言うと、専務は相変わらず表情ひとつ変えずにサラッとそう答えた。
「俺、自覚はないんだけど、昔から『Sっ気ある』って言われる」
「そ、そうなんですね……」
言わない方が楽しい、なんて言われるまでもなく完全にSっ気発言だ。でも、自覚はないって、自覚があるより厄介じゃないか。でも、そう語る響さんはやけに澄んだ瞳をしている。……どうやら本当に、自覚はないみたいだ。
「……で、実際に楽しかったですか?」
私がそう聞くと響さんは。
「会社で君の驚いた顔を見た時はおもしろかった。でも、こうして頭下げてハム持ってこられると……心が痛む」
と答えた。
痛む良心をお持ちなら、もっと早く痛めてほしかった……。
専務がそう言ってくれたので、私は、数ある質問たちの中からひとつ、真っ先に選び抜いて。
「なんで、専務だってこと言ってくれなかったんですか? 私、コスメチアの社員だってちゃんと言ってあったのに!」
と聞いた。
……いや、でももしかしたら言わなかったんじゃなくて、言えなかったのかも。なにか深い理由があったのかも。
……という思いもないことはなかったんだけど、
「言わない方が楽しいかなって」
…….専務から返ってきたのは、まさかのそんなお言葉で……。
「……私、専務のこと『やさしくていい人』って思っていたんですが……」
「え、ほんとに?」
私が言うと、専務は相変わらず表情ひとつ変えずにサラッとそう答えた。
「俺、自覚はないんだけど、昔から『Sっ気ある』って言われる」
「そ、そうなんですね……」
言わない方が楽しい、なんて言われるまでもなく完全にSっ気発言だ。でも、自覚はないって、自覚があるより厄介じゃないか。でも、そう語る響さんはやけに澄んだ瞳をしている。……どうやら本当に、自覚はないみたいだ。
「……で、実際に楽しかったですか?」
私がそう聞くと響さんは。
「会社で君の驚いた顔を見た時はおもしろかった。でも、こうして頭下げてハム持ってこられると……心が痛む」
と答えた。
痛む良心をお持ちなら、もっと早く痛めてほしかった……。