となりの専務さん
「え?」
「うまいよ、なにこの素朴な味!」
相変わらず褒められてるのかけなされてるのかよくわからなかったけど、でも。
普段表情の変わらない専務の目がキラキラと輝いているように見えた。……まあ、対象はもやしですけど。
「……あの、そんなにおいしいですか?」
「うん。食べたことないし」
「ありがとうございます。専務のおうちではもやし炒めとか食べないんですね……」
でも、どんな理由でも自分が作った料理をおいしいと言ってもらえるのはうれしかった。
「あ、あの、私もケーキいただきますね」
どうぞ、と言われ、私もさっき選んだチョコケーキをフォークで口に運ぶ。
「おいしっ!!」
衝撃だった。なにこの味。おいしい、なんてそんな簡単な一言で片づけていいのかわからなかった。
口に広がる甘くてほろ苦いチョコの味。そのチョコは、一口食べたらその甘さが口の中でしばらく続き、それでいてくどくなくて、やさしい。
口に入れた瞬間に溶けて消えてしまうかと思うようなチョコの舌触りもすごく心地いい。
私のボキャブラリーじゃこのおいしさを上手に伝えることができず、結局「ほんとにおいしいです」という、単純かつ一番わかりやすい表現に落ち着いてしまった。
ていうかちょっと待って、こんなにおいしいケーキ今まで一度も食べたことないけど、いったいほんとに値段はいくら?
「もしかしてこのケーキ、一つ千円くらいするんじゃ……?」
私が専務におそるおそるそう尋ねると。
「うん、そのくらいだったかな」
「えーっ!」
「あ、二千円だったかな」
「にっせん!!?」
私は驚いて、せっかくのケーキを吹き出しそうになり、けど吐き出すなんてもったいない!! と貧乏癖を発症させて必死にケーキを吸い込もうとしたら、ひどく咳きこんだ。
「うまいよ、なにこの素朴な味!」
相変わらず褒められてるのかけなされてるのかよくわからなかったけど、でも。
普段表情の変わらない専務の目がキラキラと輝いているように見えた。……まあ、対象はもやしですけど。
「……あの、そんなにおいしいですか?」
「うん。食べたことないし」
「ありがとうございます。専務のおうちではもやし炒めとか食べないんですね……」
でも、どんな理由でも自分が作った料理をおいしいと言ってもらえるのはうれしかった。
「あ、あの、私もケーキいただきますね」
どうぞ、と言われ、私もさっき選んだチョコケーキをフォークで口に運ぶ。
「おいしっ!!」
衝撃だった。なにこの味。おいしい、なんてそんな簡単な一言で片づけていいのかわからなかった。
口に広がる甘くてほろ苦いチョコの味。そのチョコは、一口食べたらその甘さが口の中でしばらく続き、それでいてくどくなくて、やさしい。
口に入れた瞬間に溶けて消えてしまうかと思うようなチョコの舌触りもすごく心地いい。
私のボキャブラリーじゃこのおいしさを上手に伝えることができず、結局「ほんとにおいしいです」という、単純かつ一番わかりやすい表現に落ち着いてしまった。
ていうかちょっと待って、こんなにおいしいケーキ今まで一度も食べたことないけど、いったいほんとに値段はいくら?
「もしかしてこのケーキ、一つ千円くらいするんじゃ……?」
私が専務におそるおそるそう尋ねると。
「うん、そのくらいだったかな」
「えーっ!」
「あ、二千円だったかな」
「にっせん!!?」
私は驚いて、せっかくのケーキを吹き出しそうになり、けど吐き出すなんてもったいない!! と貧乏癖を発症させて必死にケーキを吸い込もうとしたら、ひどく咳きこんだ。