となりの専務さん
「なにしてんの? 大丈夫?」
「い、いやいや二千円って! え、ひとつ二千円ですか!? 三つで二千円じゃなくて!!?」
食べかけのケーキと専務の顔を交互に見ながら私は激しく動揺する。
ひとつ二千円のケーキなんて、食べたのはもちろん初めてだけど、正直見たのも初めてです。
「ケーキって普通そのくらいじゃないの? 自分で買ったことなかったからよくわからないけど」
「いや……ていうかどこで買ったんですか、こんなケーキ……」
そう言いながら、私はまたケーキを一口、ぱくりと口に含んだ。
値段を知ってから食べたこのケーキがさっきまでより更においしく感じてしまった私はいやしいだろうか。
「元気は出た?」
不意に、専務にそう尋ねられる。
「え?」
「嫌な思いするよね。先輩にああいうこと言われると」
「えと……」
会社でのことを思い出して、また気持ちが沈みかける。
でも。
「だ、大丈夫です。あのくらい、気にしてません! さっきも言いましたけど、私にもいけないところがあるので!」
専務にこれ以上気を遣わせるわけにはいかない。ケーキを食べて元気が出たのも本当だし、私は明るく振るまった。
……実際、確かに落ち込んだけど。
でも、それは先輩たちに言われたことだけが原因じゃない。化粧品会社のOLなのにキレイな服や化粧品を満足に買えない、それどころか食べたいものすらガマンする日々に、仕方ないとはいえ、なんだか今まで耐えてきたものとかが一気に心にきてしまったようで……。
でも、それをあまり顔や態度に出さないようにしなきゃと思う。人に迷惑をかけたり、心配させたりすることじゃないから。専務には、気を遣わせてしまったけど……。
でも、もう大丈夫、大丈夫……。私は平気だ……。
「い、いやいや二千円って! え、ひとつ二千円ですか!? 三つで二千円じゃなくて!!?」
食べかけのケーキと専務の顔を交互に見ながら私は激しく動揺する。
ひとつ二千円のケーキなんて、食べたのはもちろん初めてだけど、正直見たのも初めてです。
「ケーキって普通そのくらいじゃないの? 自分で買ったことなかったからよくわからないけど」
「いや……ていうかどこで買ったんですか、こんなケーキ……」
そう言いながら、私はまたケーキを一口、ぱくりと口に含んだ。
値段を知ってから食べたこのケーキがさっきまでより更においしく感じてしまった私はいやしいだろうか。
「元気は出た?」
不意に、専務にそう尋ねられる。
「え?」
「嫌な思いするよね。先輩にああいうこと言われると」
「えと……」
会社でのことを思い出して、また気持ちが沈みかける。
でも。
「だ、大丈夫です。あのくらい、気にしてません! さっきも言いましたけど、私にもいけないところがあるので!」
専務にこれ以上気を遣わせるわけにはいかない。ケーキを食べて元気が出たのも本当だし、私は明るく振るまった。
……実際、確かに落ち込んだけど。
でも、それは先輩たちに言われたことだけが原因じゃない。化粧品会社のOLなのにキレイな服や化粧品を満足に買えない、それどころか食べたいものすらガマンする日々に、仕方ないとはいえ、なんだか今まで耐えてきたものとかが一気に心にきてしまったようで……。
でも、それをあまり顔や態度に出さないようにしなきゃと思う。人に迷惑をかけたり、心配させたりすることじゃないから。専務には、気を遣わせてしまったけど……。
でも、もう大丈夫、大丈夫……。私は平気だ……。