となりの専務さん
しばらくして、専務がお店に戻ってきた。
今私は、鏡台の前にはいなくて。
「あれ、石川さんは?」
専務が美容師さんにそう尋ねるのが聞こえる。
「少し前にセットが終わって、せっかくなのであちらのフィッティングルームでさっきご購入されたお洋服に着替えてらっしゃいますよ」
店員さんが専務にそう答えた。
……そう。パーマをかけてもらって、キレイにセットしてもらって、そうしたらさっき買った洋服も合わせてみたいなと自分で思った。
専務はまだ戻ってこないだろうと勝手に思い、着替えを始めてしまった。着替えたところまでは専務に見せるつもりはなかった。恥ずかしいし。
今は、ちょうどさっき購入したブラウスに着替えたところで。
このまま、専務の前に登場すればいい。むしろ、出ていきやすい雰囲気だと思う。
でも、やっぱりなんだか恥ずかしい。
だって、セットの直後にわざわざ着替えたりして、まるで髪をキレイにしてもらって浮かれて調子に乗ってるみたいじゃない? いや、実際そうなんだけど。
「石川さーん、出ておいでー」
専務が、私の入ってるフィッテイングルームに向かって呼びかける。
くっそぅ、声色が、呼び方が、絶対バカにしてる!
……恥ずかしいから出ていきたくはないけど、ずっとこの中にいるわけにもいかない。
私はゆっくり、フィッテイングルームのカーテンを開け、外に出た。
「あら、かわいい!」
私の姿を見て、店員さんがそう言ってくれた。
さっき買ったブラウスと、せっかくだからとそれといっしょに買った、花柄が少し大胆に大きめにプリントされている膝丈のスカート。
……実を言うと、店員さんと専務から『オシャレするなら靴が最重要』と言われ、あの店でパンプスまで買っていた。
貧乏人のくせに、押しに弱いからこうなる。でもこのパンプス、かわいくてすでに気に入っている。
髪は、さっきキレイにパーマをかけてもらった。
キツい印象にならないように、ゆるく、それでいたふんわりとかけてもらった。最初は初めてのパーマに不安も感じていたけど、こちらもすごく気に入った。
……気に入ったけど、それゆえ浮かれてしまい、こんな風に着替えて調子に乗ってる姿を専務に見られ、それはもう恥ずかしい。
専務にどう思われてるのか怖くて、専務の顔が見れず、私はさっきからうつむいている。
……すると。
「……かわいい」
今私は、鏡台の前にはいなくて。
「あれ、石川さんは?」
専務が美容師さんにそう尋ねるのが聞こえる。
「少し前にセットが終わって、せっかくなのであちらのフィッティングルームでさっきご購入されたお洋服に着替えてらっしゃいますよ」
店員さんが専務にそう答えた。
……そう。パーマをかけてもらって、キレイにセットしてもらって、そうしたらさっき買った洋服も合わせてみたいなと自分で思った。
専務はまだ戻ってこないだろうと勝手に思い、着替えを始めてしまった。着替えたところまでは専務に見せるつもりはなかった。恥ずかしいし。
今は、ちょうどさっき購入したブラウスに着替えたところで。
このまま、専務の前に登場すればいい。むしろ、出ていきやすい雰囲気だと思う。
でも、やっぱりなんだか恥ずかしい。
だって、セットの直後にわざわざ着替えたりして、まるで髪をキレイにしてもらって浮かれて調子に乗ってるみたいじゃない? いや、実際そうなんだけど。
「石川さーん、出ておいでー」
専務が、私の入ってるフィッテイングルームに向かって呼びかける。
くっそぅ、声色が、呼び方が、絶対バカにしてる!
……恥ずかしいから出ていきたくはないけど、ずっとこの中にいるわけにもいかない。
私はゆっくり、フィッテイングルームのカーテンを開け、外に出た。
「あら、かわいい!」
私の姿を見て、店員さんがそう言ってくれた。
さっき買ったブラウスと、せっかくだからとそれといっしょに買った、花柄が少し大胆に大きめにプリントされている膝丈のスカート。
……実を言うと、店員さんと専務から『オシャレするなら靴が最重要』と言われ、あの店でパンプスまで買っていた。
貧乏人のくせに、押しに弱いからこうなる。でもこのパンプス、かわいくてすでに気に入っている。
髪は、さっきキレイにパーマをかけてもらった。
キツい印象にならないように、ゆるく、それでいたふんわりとかけてもらった。最初は初めてのパーマに不安も感じていたけど、こちらもすごく気に入った。
……気に入ったけど、それゆえ浮かれてしまい、こんな風に着替えて調子に乗ってる姿を専務に見られ、それはもう恥ずかしい。
専務にどう思われてるのか怖くて、専務の顔が見れず、私はさっきからうつむいている。
……すると。
「……かわいい」