となりの専務さん
「俺には、姉がいてね」

「え、そうなんですか」

「うん。姉はもう嫁いでいるからうちの会社の仕事はしていないけどね。すごく……素敵な人だよ」

専務は続ける。

「姉と俺は年が九つ離れていてね。
姉は、皮膚の弱い体質だったから肌はいつも荒れがちで、そのせいで長い髪でいつも顔を隠し、ずっとうつむいてた時期があったんだ」

「え……」

「俺の前ではいつも明るく振るまってくれていたけど、ムリをしていることは気づいてたよ。
俺は、年の離れた弟の俺にいつもやさしくしてくれる姉のことが大好きでいつも見てたからね」

「はい……」

「でも、姉が高校生になった頃かな。姉が一時期、家から出なくなってしまって」

「え?」

「容姿のことで悩みすぎちゃったみたいでね。学校にも行かなくなったから、そもそも学校でなにかあったのかも。とにかく、部屋にこもりがちになってしまったんだ」

「そんな……」

それは……専務のお姉さん、相当辛かっただろうな。
だって女の子だし。
私なんて、月野さんたちから服や髪のことでちょっと言われただけで結構辛かったのに……。

そして、そんなお姉さんを心配する専務も、とても辛かっただろうな。
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