となりの専務さん
……と思ったけど。
「たとえば君が俺のことを好きだと仮定してね」
あ。たとえばの話ですか。
「ええと……。まあ、リアルに考えると私は家の借金があるので、失恋で会社を辞めるわけにはいかないのが現実ですね……それに……」
「それに?」
「化粧品のこと、もっとたくさん勉強したいなって思ったんです」
専務のお姉さんに自信を授けた化粧品。
私に勇気をくれた化粧品。
専務が誇りを持って扱っている化粧品。
いろんな思いから、もっとたくさんのことを勉強して、もっとたくさん会社に貢献していける人間になりたいと思った。大手の会社だとか、お給料いいとか、そういう理由だけじゃなくて。
「……そう」
専務は短くそう答えるだけだった。けど。
……あれ、今ちょっと笑ってたかな? よく見えなかったけど。
「……でも安心したよ」
「え?」
振り返れば、専務はいつもの無表情で言う。
「てことは、俺と君が結婚して、万が一うまくいかなかったとしても、君は会社を去ることはないと」
突然、例の結婚話が出てきて私の心臓はまたしても激しく動いた。
「あ、あのっ、その話は、そのっ!」
「まだ冗談だと思ってる? 困るな、本気なのに。顔に本気が出ないからいけないのかな。でもこの無表情、意識しても直らないんだよな」
「あ、え、あの」
そ、そんなこと言われたって、誰かの代わりに結婚なんて絶対しませんからねーー‼︎
「あ、でも」
専務はなにかを思い出したような声を出す。
「なんですか?」
「君と出会ってから二回ほど君にキスをしたけど、今後はああいう突然の行為は控えようと思う」
「たとえば君が俺のことを好きだと仮定してね」
あ。たとえばの話ですか。
「ええと……。まあ、リアルに考えると私は家の借金があるので、失恋で会社を辞めるわけにはいかないのが現実ですね……それに……」
「それに?」
「化粧品のこと、もっとたくさん勉強したいなって思ったんです」
専務のお姉さんに自信を授けた化粧品。
私に勇気をくれた化粧品。
専務が誇りを持って扱っている化粧品。
いろんな思いから、もっとたくさんのことを勉強して、もっとたくさん会社に貢献していける人間になりたいと思った。大手の会社だとか、お給料いいとか、そういう理由だけじゃなくて。
「……そう」
専務は短くそう答えるだけだった。けど。
……あれ、今ちょっと笑ってたかな? よく見えなかったけど。
「……でも安心したよ」
「え?」
振り返れば、専務はいつもの無表情で言う。
「てことは、俺と君が結婚して、万が一うまくいかなかったとしても、君は会社を去ることはないと」
突然、例の結婚話が出てきて私の心臓はまたしても激しく動いた。
「あ、あのっ、その話は、そのっ!」
「まだ冗談だと思ってる? 困るな、本気なのに。顔に本気が出ないからいけないのかな。でもこの無表情、意識しても直らないんだよな」
「あ、え、あの」
そ、そんなこと言われたって、誰かの代わりに結婚なんて絶対しませんからねーー‼︎
「あ、でも」
専務はなにかを思い出したような声を出す。
「なんですか?」
「君と出会ってから二回ほど君にキスをしたけど、今後はああいう突然の行為は控えようと思う」