となりの専務さん
「え、どうしたんですか急に」

いや、あのようなことを今後もされると確かに心臓がもたないから、やめていただけるならありがたいのですが……。


……いや、でもされないのはされないでちょっと寂しいかな……って、なに考えてるの私!


すると専務は、いつもの無表情で、けれどどこかキリッとした表情で……つまり、きっといたって真面目に、こう答えた。

「君が処女だってことは、この前のマシュマロで確信したんだけど」

「はい⁉︎」

な、なにを突然‼︎
そ、そりゃ処女ですけどー!⁉︎


「処女の君にいきなりキスとかは、刺激が強すぎると思って」

「んなっ、な、ま、まぁ……」

「だから、オトナの恋は少し待って……あえて中学生みたいな恋愛で攻めていこうかと思って」

「あえて中学生?」

私が首を傾げると、専務はコク、と頷く。


「手を繋いだり、名前を呼び合ったりするだけでドキドキするような、そんな恋愛」

「はあ……」

確かに、そういう恋愛も素敵だとは思うけど……。

オトナの恋も、中学生みたいな恋も、恋愛に疎い私にはいまいちぴんと来ない。


すると専務は。


「でも、この年になってあえて中学生みたいな恋愛っていうのは、一周回って逆にエロいかな?」

「はい⁉︎」

し、知りません! エロいとか‼︎ どういうことですか‼︎
そしてそういうことをこんなところで言わないでください‼︎



「でもさぁ、恋愛って難しかったりもするよね」

駐輪場から、アパートの外周のごみ拾いに移りながら、今度は専務から新しい話題を切り出す……けど、いったいどういうことなんだろう。


「えと……なにかあったんですか?」

「いや、単に今までのことを思い出して」
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