エリート上司と秘密の恋人契約
「ニューヨークで諸橋くんに会いました? 元気でした?」


「ん? ああ、本間さんは同期だったね。うん、あいつは変わらないよ。どこにいても自分のスタイルを崩さない。元気かどうかは微妙な感じはしたけど、具合は悪そうに見えなかったかな」


黒坂さんの説明は分かりやすいようで分かりにくい。元気かどうかは微妙とはどういうことなのかな?

慣れない土地で疲れていたりするのかな?


「フフッ、変わらないなら元気なんでしょうね」


「まあね」


さやかさんも黒坂さんは顔を見合わせて笑うけど、私はそれをぼんやり見ていた。

思い出さないようにしていた和真の姿が浮かぶ。外国人に囲まれていても、戸惑うことなくそこにいることが当たり前のような顔で仕事をしている姿が。きっとどこにいても変わらないんだろうな。

私がいなくても何も変わらない……。

私と会えなくても何も変わらない……。


「美弥、行くわよ」


「あ、はい」


さやかさんに急かされて止めていた足を動かす。ダメだ、ダメ。仕事に集中しよう。

和真のことを思い出しては、いけない。

数回の打ち合わせを終えて、発表会の前日を迎える。
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